ある日私の知人から電話が入りました。

知人のお身内が

「葬儀会社から高額な棺や仏具を勧められ、断りづらい状況で購入を迫られて困っている。すぐに決断するよう迫られているのだが、予算があまりないのでこんなお金は準備できない。どうすればいい?」

とのことでした。

お身内を亡くしたばかりで突然そのような提案をされた上にすぐに決断するよう迫られ、さぞご不安で戸惑われだろうと思います。

提案された内容を確認したところ、葬儀会社が勧めてきた商品の必要性や価格についてお気持ちを確認したところ、ご遺族が高額な棺などに必要性を感じていらっしゃらない、その葬儀会社とは別に縁があるわけではないので、今後つき合わないことを決めているとの事でした。

知人の方から葬儀会社に連絡を取り、なぜそのような商品を提案したのか理由を確認しましたが

「よいモノを使って頂いた方が故人様も喜ばれる」

の一点張りでしたので、もしご遺族様にとって必要のないものをすすめられた場合には、はっきりとお断りすることをおすすめしました。

また葬儀の本質は、心を込めて故人を送り出すことであり、必ずしも豪華なものが必要なわけではないことをお伝えし、質素で温かみのある供養の大切さをお話ししました。

ご遺族様は

「そんなに高いものは必要ではないと分かってはいたのだけど、はっきり断るのは何かあったらどうしようと不安でした。

しかしご住職からはっきりと“心を込めて故人を送り出すことが葬儀の本質”とアドバイス頂いたことで、お金はあまりかけませんでしたが心のこもったお葬式ができました。

ありがとうございました」

とのお言葉をいただき、自身も少しでもお役に立てたことを心から嬉しく思いました。

ご葬儀は故人を見送るという大事な儀式ですが、それより見送られるご遺族様の心の整理のためにあると私は考えております。

ご遺族は納得されない不本意な形で葬儀が行われ後悔されることは、何より故人様にとって不幸な事だと思います。
ご遺族様がご納得できるあたたかいご葬儀をこれからも執り行いたと、あらためて思ったトラブルでした。